インフルエンサーの終焉

物騒なタイトルですが、WEB上のプロモーション手法の変化についての話です。

 インフルエンサーという言葉(概念)が発生してからまだそう経ってなかったはず、と思って調べてみたところ、SNSで万単位のフォロワーを抱えるいわばインフルエンサーを起用した企業によるPRなどが始まったのは2010年頃*からのようです。


そこから10年もしないうちにインフルエンサーが終わりつつあるという話とは…いやはやドッグイヤーです。
キャッチーなタイトルを付けましたが、これは単純に企業のPR方法が変化したというだけで、今後SNSを通じたプロモーションが収束するといったことを指しているわけではありません。すでに始まっていますが2020年前後のトレンドの話として捉えてください。

インフルエンサーのプロモーションは、大量のフォロワー(ファン)を抱えた人間がある特定の商品を紹介し、消費を促すという形式を取っています。
しかし、それが増えていった結果、いわゆるインスタのニコパチ*2の反応率の低さに代表されるように、「インフルエンサーを使えば売れる」「インフルエンサーに投稿してもらえば売れる」から、「よりリアリティを持って投稿してもらわないと売れない」「ただインフルエンサーを起用しただけでは売れない」という方向にシフトしてきました。

この流れと同時期に、動画配信の流れに新しく「ライブ」というトレンドが発生してきます。これまではアイドル的な存在の人を画面越しに見るだけだったのが、文字や電子的なプレゼント(投げ銭システム)でどこでも簡単にコミュニケーションを取ることが可能になりました。
これによって事務所やTVといった企業を介さず、配信者はスマホを起動するだけでファンへ動画やメッセージを配信し、ファンは直接配信者を支援しメッセージを届けることができるようになりました。加えて、テレビショッピング的なライブ配信も進出していきました。
これはどういうことかというと、一方方向のコミュニケーションによる消費促進が双方向コミュニケーションに切り替わっていったということです。
テレビはオワコン、の原因とされた情報発信の多様化はこれまであくまでもマスメディアを代替するものでしかなかったわけですが、そういった配信に「双方向」という新しい概念が加わってきたのが最近のトレンドです。メッシュ化というとわかりやすいでしょうか。

そういった流れの中で、SNSを代表とするWEB上のプロモーションもまた「メッシュ化」してきており、インスタの場合は双方向かつ複数人とのコミュニケーションの中でモノが消費されるという図式に変わってきています。
そのため、インフルエンサーというフォロワーを何万何十万と抱える一人の人にプロモーションを依頼するのではなく、数百~数千のフォロワーを持つ一般のファンを多数集め、その集団にリアルな使用感とともに商品をプロモーションしてもらう方法に変わりつつあります。インフルエンサーによるプロモーションが一本釣り的であったのに対し、新たなプロモーション手法は網引き的です。「友達(フォロワー)が何人かおすすめしてたから買ってみる」という消費行動がこれからのスタンダードになっていくと思います。

ひとつの個人や法人がパワーを持って情報を発信するという一方的な方法から、多数の人がそれぞれに意思や情報を伝達しながら消費行動が発生するようになると、考えられうる問題としてはコミュニケーションによる精神的負担が増えることでして、「SNS疲れ」はまだ今後もあり続けるだろうなという印象です。
広い意味で捉えれば、秋元康系アイドルの握手会疲れなどもこれに該当するでしょう。(沢山の人と交流すればもっと売れる!→コミュニケーションにあたる人物の疲弊を招く)

また、そういったマーケティング自体がステルスマーケティングに近く、「ご提供いただきました」「PR」等の明記やタグ付けを徹底するなどのルールなく運用されるのは危険と思われます。内容が伴わない商品だった場合、一時期問題となったタピオカイベントのように『絶賛している口コミは招待された人のみ』という残念な結果になり、そのような事例が何度も繰り返されると「SNSのPRはダメだ」となり、プロモーション手法自体にマイナスな影響を与えることになります。
商品提供や招待、フィーをいただいているからと口コミやPR文に極端にプラスなことばかり書きすぎた結果、盛っているというレベルではなく嘘になってしまうのも原因と思われますので、企業側(広告主)側から通常の感想を記載するようにというアナウンスも積極的にすべきなのではないかと思います。

こういった流れを一消費者として見ると、マスメディアによる広告が主流の時代よりも、さらに良いもの(自分に合ったもの)に辿り着く難易度が数段上がった、という印象があります。すでにAmazonの口コミは謎の中国なまりの日本語でハックされて使い物にならないと話題になって久しいわけですが、あの現象がどのサイトで起こってくると思うと恐ろしいという印象すら受けます。
ただ、もしかするとこの先口コミとはまた違った購入指標が出てくるかもしれません。サジェスト機能(「この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています」のこと)がもっと高度になってきて、口コミによる評価に頼らずとも個々人にとっての"いい商品"が提案される日が来るかもしれませんし、口コミ自体にAIによる判定を積極的に活用される日が来るかもしれません。それもそのうちハックされてアテにならなくなったり、評価方法がブラックボックスなのをいいことにお金を払えばチートできますなどというご案内が横行する*3かもしれないと思いますが、そのときはまた新しいシステムが出てくるのを待ちましょう。

このトレンドの中で、中小企業や個人のこだわりある商品にたどり着きやすい時代になったことも事実です。莫大な広告費を用意しなくても、必要な人に必要な商品を届けられる時代になったということです。それはとても良いことだと思います。ニッチなジャンルを欲していても消費者は昔より不便ではないし、企業側は商圏が狭くて儲かりやしないといわれていたところにも参入していけるようになり、起業時に大きな資金がなくても、小さいビジネスをかんたんに始めることができるようになりました。これはアレルギーなどの限られたニーズが否応なく発生する人にとってはとても助かりますし、私のようなニッチジャンル大好きヲタクにも優しい世界です。ありがたいですね。

新しい流れを楽しみましょう。では。

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*:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%95%E3%83%AB%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B5%E3%83%BC

*2:PR商品を顔の横に持ってにこっと笑った画像のこと

*3:すでにホットペッパーで出た疑惑ではあるので進行しているかも